2017年12月25日

薔薇色の人生、裏を返せば薔薇に縛られた人生か?村山由佳「ラヴィアンローズ」感想

今回の読書感想文(というとなんだか小学生っぽい;)は
村山由佳さん「ラヴィアンローズ」です。


◆村山由佳さん「ラヴィアンローズ」あらすじ(ネタバレあり)
フラワーアレンジメント教室を開いている咲季子。
傍から見たら自立した女のようにも見えるが、実のところ正反対。
夫は咲季子を「お前なんて」と罵倒したり、門限を設けたり束縛をしていた。
咲季子にとっては両親が遺してくれたバラ園だけが自分の場所だった。

著書制作の作業で憧れのアートディレクターと仕事出来ることになる。
「堂本裕美」。しかしその憧れの人物は男性だった。
そこから咲季子の人生の歯車が少しずつ狂っていく…。

と、こんなところでしょうか。


◆村山由佳さん「ラヴィアンローズ」 作品を一言で表すとしたら?
本書内でも出てくるが、「ラヴィアンローズ」=「バラ色の人生」という意味らしく。
まさに薔薇づくしの一冊。一言で言えば「薔薇」しかないですね。
主人公咲季子の大切なものであり、薔薇のために人生が
大きく変わってしまうきっかけにもなってしまう。
私はあまり薔薇に興味はないけれど、自分が大切にしているものを
他人からはこう見えているのかな、なんて
新しい視点を体感することができました。


◆村山由佳さん「ラヴィアンローズ」 感想
主人公はお金持ちのお嬢様出身。
すごく大事にしているテーブルを「ついた傷の跡は全部覚えているくらい」
的な表現をしていて、「マジか?!」と思うのでした。
そんな言い回しからもいわゆる「丁寧な暮らし」ぶりをしている事が
分かります。最近、話題にもなっている「あの」丁寧な暮らしってやつです。

どうして今まであんな夫の元に居たのか?と疑問も湧きますが、
彼女にとっては少し自分が我慢さえすれば
なんだかんだいって居心地いい環境だったのではないかとも思うのです。
後半の暴力振るわれるなどはさすがにNGですけれども。
夫が仕事に籠もっている間は自由に過ごせるわけですし、
怒った反動という理由でも料理を作ってくれる夫。
我が家の夫など1年に1回くらしか料理してくれませんけどね。

仕事もあまりうまくいってないからこその毛玉のついた夫の洋服。
仕事がうまくいってないのに洋服をバンバン買ったら買ったで、
咲季子は怒ると思いません??
高級な服を着ていても、自分の好きなテイストと違ったら文句言いそうですよね。
「いいものを身に着けて欲しい」などなんだかんだ言ってますが、
自分に見合う装いをしてほしかったのではないかと考えます。
そして同時にその気持ち、少しは理解できます。
たしかに毛玉だらけの服を着ているダサい夫を愛せと言われても難しいですもの。
とはいえ咲季子なりに対話を重ねても無理だと、絶望を感じますよね。

離婚したい。独立したい。そういう考えに至らなかったのは、
薔薇園があったからではないかとも
思うのです。薔薇園を軽々しく移動できませんし、
自分が家出するのは簡単ですが夫に出ていけと言っても
行かない可能性は大いにありますし。

そんな咲季子を変えてしまったのは堂本ですが、堂本も悪い男。
当初は咲季子と同じく「ていねいな暮らし」主義なのかなとも思いましたが、
ただ単にお金がなくて古いものを大事にしてただけかい!
となかなかのトリック?でした。
でもそういう男、たまにいますね!!!


唖然としたのは夫を亡きものにしてから夫の部屋に久々に入るシーン。
結婚してから数回程度しかほぼ立ち入った事がないなんて!
なんというか、あぁお嬢様だなぁ、他人を疑うとかいう観念がないんだなと
羨ましくも思うのでした。

夫が薔薇の蕾をちょん切ってしまうシーンは、おそらくわざとかなとも考えます。
「お前さえいればいいんだ」という男が咲季子が薔薇を大事にしているという点
などすぐ分かるはず。
彼女の行動丸わかりだったからこそ、制裁として行なったのだなあと読了後、
じわじわと感じることが
できました。本当は相手のイチモツをちょん切りたいくらいのところを
我慢して我慢した結果なのではないかと。


この作品の特徴として、いかにもなオチにならなかったところが
良かったと思います。堂本が男性と分かり、夫にバレるところが
クライマックスかと思いきや速攻バレましたし、
ラストで警察がきたか?と思いきや走り去る描写などは、
いい意味で読者の期待を裏切ってくれました。

もう一度読み直すと、「後悔なら死ぬほどしている」のに
それでも堂本とのキスは自分にとって人生の宝
だと言う咲季子。夫とそんな瞬間は一度もなかったのでしょうか。
それに少し切なく感じるのでした。



posted by ライターam at 12:16| 東京 🌁| Comment(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月18日

連ドラ脚本を読んでいるような感覚と、タイトルにやはりモヤモヤ「ママたちの下剋上」深沢潮

◆タイトル負け?「ママたちの下剋上」
タイトルからすると、角田光代さんの「森に眠る魚」をイメージしていたのですが、
あちらと比較するとかなり薄まった、ふわっとしたかんじでした。
そもそも主人公がママではないため、“部外者から見たママ世界”という世界観かと。

「下剋上」というだけに、そうとうバトルや波乱があるのかと思いきや、
ママがママを叩く、ママがスーパーで万引きするなど。文字に起こすと波乱っぽくみえますが、
実際読んでいるとサラッと描かれているため、今一歩感が。
元は「広報・聖アンジェラ学園」を改題、加筆修正、単行本化したそうなのです。
以前のタイトルだったらママ層は全く手にとらないと思うので、改題は賛成ですが。
原題のママ社会はもっと激しいと思うので、どうも手ぬるいなぁと感じてしまいます。



◆夫婦間のやりとりの方がよっぽど響いた「ママたちの下剋上」

私がお受験ママだったらもっと響く点もたくさんあったのかもしれませんが、
主人公・香織が働きたい気持ちを夫にうまく伝えられないもどかしさの方が
共感できました。
この本をきっかけに夫と久しぶりに話し合うことができました。
夫婦となると、自分勝手に生きることはできないんだなと改めて気付いた事も
多かったです。夫婦を視点にした深沢潮作品、ぜひ読んでみたいなと思います。


◆さらりとADHDを流さないでほしい「ママたちの下剋上」
本作品は、お受験、学園広報、DINKSなど主軸がいくつもあり、
さらに副校長とアノ人がデキてたーとか小ネタも盛りだくさんなのですが
副校長のお子さんがADHDの疑いありというのもサラッとネタ化されているような
気がしてしまって。内容に盛り込むならもっと迫って欲しいし、これだけサラッと触れるくらい
ならわざわざ入れなくてもいいのではと思ってしまいました。



◆最後に

当初、想定の「森に眠る魚」とはだいぶ違うテイストでしたが、これはこれで
新しい描き方だったなという印象もあります。
主人公・香織の姉が子どもたちに思いを託しお受験モードになっていたことから、
「下剋上」というワードをもってきたのかもしれませんが、全員が全員、下剋上
理由のお受験ではないと思うので、なんとなくひっかかってしまうのでした。
また、プロローグのページで
「下剋上・・・地位の下の者が上の者をしのぎ、あるいはとってかわることを意味する語。」
とわざわざ書いてしまっている、これがある種、不要だったかもしれません。

香織の姉・家族もラストで福岡に行く、と言った割りに夫の転勤でなぜかすぐ戻ってきてしまうし。
あたかも続編をにおわせるような描き方。ドラマでありがちな展開でした。
そう、連ドラの脚本を読んでいるような感覚でした。





posted by ライターam at 11:23| 東京 ☀| Comment(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月29日

結婚前に読んだら吉か凶か?!「黒い結婚 白い結婚」



「「黒い結婚 白い結婚」」の画像検索結果

7人の人気女性作家が「結婚」をテーマに競作した本でした。
表紙が黒、裏表紙が白になっていて、どちらからも読めるようになっています。
図書館の受付おばちゃんA「あれ?読み取りバーコードが逆さまだわ」
図書館の受付おばちゃんB「これでいいのよ」
というやりとりが発生しておりました。

私は黒と白、交互に読んでみました。
気持ちのバランスもとれて、個人的にはおすすめです。
そして「黒と白、どっちが面白い?」というご意見には、声を大にして言いたい。


「黒!!」と。


面白かった作品をピックアップしてみたいと思います。



◆「水際の金魚」窪美澄 (黒)

黒の冒頭にして圧倒的にスゴイ。
終盤では、泣きだしたくなるほどでした。
ここから多少ネタバレになりますが、指輪や金魚など全ての事項が
しっかりリンクされていて、しっかり計算し尽くされた芸術作品のようでした。

冒頭、主人公が満員電車のなかで回りの人が指輪をしているかどうかチェックする
場面は、はじめなんとなくいまいち、と感じたのです。
でも少しして「あれ?もしかして自分もそういうことしてない?」とか思ったり。
Mと出会ったあたりからはもう、ジェットコースターのようにラストまでもっていかれました。

主人公はどうするのでしょう。
離婚して新しい人生をはじめるのか。今のままを選ぶのか。
どちらにしろ、進む道を決めればあとは進むだけだけど、どうしようと困惑している時が一番
つらく、それはまるで水を失った金魚のようで。
胸がヒリヒリするくらい共感しました。



◆「シュークリーム」瀧羽麻子 (白)

婚約中の彼はシュークリームの真ん中だけとか、とにかく美味しいとこどりで、
彼女が「本当にこの人でいいのか?」と、マリッジブルーになってしまう作品。
これまた共感の嵐!
どんなに好きな相手でもイライラする部分は絶対あるし、それをどう乗り越えていくかを
綺麗に描いているなと。ちょっと相手に嫌なことがあったら別れを選ぶ人はぜひ読むべき。
婚活・妊活世代の人に読んでいただきたいです。




◆「かっぱーん」深沢潮(黒)

読書中に何度も「?!?!?!」「ほ、本当にこんなに書いちゃっていいの?」と
ある意味で震えた作品。訴えられないのかな?と心配になりました。
作品のモデルになっている実在の人物が、少なくとも2人はいます!
この本イチの問題作といってもいいかもしれない。
でも実際にこういうことになっている人が世の中にはたくさーんいるのだと思うと、
これまた震えます。
後半はオーバー気味に描いているとは思いますが。




◆「愛の結晶」木原音瀬(黒)

前半は「このなかでBL?」と思ったのですが、しっかり男女の結婚観でした。
作品世界では、女性の社会進出が強まり、男性に人口子宮を入れて男女どちらでも
妊娠できるという驚愕の展開に!この作品のように、男性に妊娠・出産は
耐えられないと思いますwでももし男性が妊娠できたら、
社会は妊婦に劇的に優しくなりそうだなと。
木原音瀬先生の鋭い視点に圧巻でした。



◆「家猫」中島京子(黒)

同じ「離婚」という過去でも男女間でこんなにも違う思い出になるのかと。
黒ラストにふさわしい作品だったかと思います。
相手との対話が必要だなー。
「気づいて」とか「理解して」「分かるでしょ」なんて言葉、陳腐で
卒業の必要性を感じることができる作品です。




posted by ライターam at 09:15| 東京 ☔| Comment(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月18日

打ち切りによるトンデモ実話ストーリーに批判とイライラ? さがわれん「はだしの天使」感想口コミレビュー


実話をもとにした漫画「はだしの天使」。


「はだしの天使」の画像検索結果

初めは感動していたのですが、後半になるにつれ違和感が・・・。

ネット検索してみると、批判、「イライラする」という口コミ、

も多かったので逆にホッとしました。

「こう感じるのは自分だけじゃなかったんだ」と。

この作品、どうやら途中で打ち切りになったようですね。

だから突然、ユウタくんが20才になってしまったりという

トンデモなストーリー展開なのでしょうか??

自立させたいのに、子どもの就職面接にママが付いて行って

子供の代わりに話すって全然自立になってないやん!と

ツッコみたくなりました。



そもそも、今からかなり前の時代の話なので参考にならない点も多いです。

また、漫画であればしっかり構成を決めて内容が進んでいくと思いますが、

実話を基にしているせいか、主人公の考え方もすごくブレるので

読んでいても「ん?」と思うことが増えてきてしまいます。

Aというテーマだったはずが、いつのまにかBになり、Bと言っていたのに

Cという感じで。



主人公ママは、障がい児と健常児を一緒に育てたい

という気持ちが強いようですが、

障がい児が全員普通級に行ってしまったら、

果たして教師は対応できるでしょうか?

障がいによっては、少人数で授業を受けた方が子供自身も安心する子、

緊張せずに自分の意見を言えるような子もいます。

健常児と一緒に過ごすことでプラスに働く面ももちろんあると思いますが、

マイナスに作用してしまうこともあると私は思います。


最近の小学校は「通級指導」もありますし、それは障がいのあるなしに関わらず

「誰でも行っていいところなんだよ」と学校側も説いています。

最近の教育現場の実態とは違う部分も多いので、

「この作品を読んで参考にしよう」とするのはどうなのかなぁと思います。

あくまで「こういう考え方もあるのだ」くらいで読むのがいいかと。


作品内では、「普通級に行くためには障がいがあることを隠して入学する。

だから就学前健診を受けない」という考え方がありました。

私はこの考え方はとても危険だなあと思っています。

実際、私の周りに「幼稚園入園の際も障がいを隠して入園した」

という人もいました。


しかし結局、バレてしまうと思うのです。

「知らなかった」で済むかもしれませんが、その後はどうなるのでしょう。

障がいがあると分かってもそれに対応してくれる

園や学校ならいいですが、そうでなかったら?

退園を進められたり、冷たい対応をされたら?

そんなリスクを負うなら、はじめから手厚く対応してくれる場所、

温かく受け入れてくれる場所に

行ったほうがいいのではないでしょうか。


誠実な方法で入っていないのに、相手には「不誠実だ!」「しっかり

対応してくれ」なんてそもそも言えないのではないかと思います。


今の時代は、療育に通っていれば就学前健診より前に

「就学相談」の案内がきます(各自治体にもよります)。

早ければ年中から就学相談の説明会の参加を勧められます。

就学相談では、子どもの問題をよく相談し、

場合によっては模擬授業などしたうえで、

通常学級に行くのか、通級にするのか、特別支援学校にするのか

共に考えてくれます。


専門家としっかり話し合ったうえで、学校での子どもの行き場を決めれば

入学後何かあっても、安心して詳しく相談できると思います。


自閉症育児のための本は、まだまだたくさんあるので

あくまで「実話をもとにした漫画」として楽しむといいのかもしれません。


posted by ライターam at 22:54| 東京 ☀| Comment(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月14日

私が木原音瀬作品を知ったきっかけ。平成のフェチズム小説?「Lutus」


今回は私が木原音瀬さんを知ったきっかけでもある作品
について書いておこうと思う。


それは、

雑誌 『yomyom 
2014/11/1 定期号 秋号』


を手にしたことが
はじまりだった。近所の図書館では毎月、リサイクル本
が貰えるのでとにかく少しでも面白そうな本はもらっておく。
そこで手にした「yomyom」。

連載物も多いので、普段は買ったりしないのだけど。
読んでみると、読み切り小説があった。
それが木原音瀬さんの「Lutos」だったというわけ。


【「Lutos」あらすじ】
内容としては、主人公=医者。
ある病で入院中の患者さんがいる。
本来の病気とは別に、なんだか脚がおかしい。
どうやらプライベートで纏足している。
しかも夫にやられた。性的目的のために。
(纏足で変な形にさせて、その窪みにあれこれしたり、
また感じやすくさせている)


そんな主人公は脚フェチ。
患者さんの纏足した脚に完全に気持ちが持っていかれてる。
(確か、病室のベットで脚をナデナデしたりしてたっけ??)
病気を治すため、その脚を切らなければならない。
主人公はもったいないと思ってるけど、当の本人は
切った後、すっきりしたと。(本心かは分からない)
こんな内容。


BL要素はないけれど、読んだあと
「こ、これはどんなジャンルなんだ?!」と
新しさを感じて俄然、興味が湧いてしまった次第。


文庫化もされていないし、内容としても露骨に交わるシーンなどはない。
だけど、とってもエロティック。
木原音瀬ファンなら、読んでおいて損なしの作品です。



【纏足のエロスについて、もっと調べてみた】
ちなみに、
「中国では纏足で性的にどうこうするのが一種の風習」
的なことが書いてあって「それはフィクションなのかどうなのか?」
とちょっとググってみたら
どうやら本当らしい!!


女性の纏足を愉しむ方法は
四十八手のように様々なパターンがあったとか。
総称して「玩蓮」とよばれていて・・・。
そう!だから「Lutos(「蓮」の意味)」!
つまりは、フェチズムの世界ってこと。

とはいえ、フェチズム小説は決して今に始まったことではない。
日本文学の重鎮、川端康成や谷崎潤一郎もフェチズム作品を描いている。
それを思えば「Lutos」は平成のフェチズム小説
ともいえるのではないかと思う。
「平成のフェチズム小説」なんていうと、なんだか胡散臭くなって
申し訳ない。でも端的に言うとそうなのかもしれない。

posted by ライターam at 23:04| 東京 ☁| Comment(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

不器用フツメンと器用イケメンの究極愛!木原音瀬「美しいこと」

「箱の中」「檻の外」が面白かったので、さっそく読みました。
木原音瀬「美しいこと」。


【BLが究極の愛の形であるわけ】
完読後に残ったのは「究極の愛だな」ということ。
私はこれまで、小学校低学年くらいから恋愛小説を読んできた。
もう男女のどうのこうのなんて、飽きるほど読んできた。
だからこそ、BLの良さに気付いてしまった。

男女間でさえ、告白は勇気のいること。
それなのに「男性同士」であれば、そのハードルはありえないほど高い。
しかも「美しいこと」は、女装していることを隠しているという二重のハードル!!
そして、読者としては
@フツメン(普通のメンズ)と美女との恋愛
A気が利かない男と気が利きすぎのイケメンの恋愛
と、1つで2度美味しい・・・というか2倍ドキドキする展開が待ち受けている。
これはもう一般的な恋愛小説では越せないレベルだと感じた。

性交渉しても、身体と心の痛みが先にくる。
だけどそこから生まれてくる謎?の快楽。
それこそが愛・・・なのではないだろうかと思ってしまう。
そして、男女間であれば快楽に直結するものが、都度あれこれ歪まないとならないのがBL
なのではないかとも思う。
しかしだからこそ読者としてはもどかしく、そして一般的な恋愛小説では得られない
読了感なのかもしれない。



【「美しいこと」の究極性】
まず、主人公・松岡とお相手寛末がまず対極である。
イケメンで仕事もできて気が利く松岡。
ダサくてトロ寛末。

松岡本人も「なんでこんなやつを好きに?」と思うけれど止められない想い。
そう、それこそが愛!!
打算とか計算でないということが、寛末というキャラだからこそ分かるのである。

しかも、
寛末に困っているところを助けてもらったり
寛末が他の人を助けているところを松岡が見掛けてしまうシーンもすごくいい。
外見などではなく、内面で好きになっているのだなと理解できるからだ。

最近のドラマなど、よく聞くのが「どうして好きになったのか分からない」
という声である。たしかにいきなり恋に落ち過ぎなのである。
この作品のように、読者も大納得の理由があってこそ共感できる。
現代のドラマももう少し心の揺れ動きを丁寧に描けばいいのではないかと思う。



少し話が逸れたが・・・。
もう1つの究極性。
それは、「立場」だと思う。

寛末→松岡(女装)に告白
寛末⇔松岡に告白
寛末→松岡に告白??

と、1つの小説だけで、これだけ恋の立場の大どんでん返しが起きたものは
恋愛小説において非常に稀有であると思う。
しかも、さらに間には正当な男女交際も織り込まれている。
(松岡、寛末がそれぞれ女性と付き合ったり、付き合いそうになったりする)
まるでミステリーのようなトリックともいえるストーリー展開だった。

登場人物の心の動きを細かく拾っていきながらも、
ダイナミックな展開を書くことができる著者のスキルの高さに
ただただ圧倒された作品だった。


寛末のギャップ萌え!

最後に。
寛末のギャップにヤラれた人も多いだろう。
酔ってHしてしまったときの、寛末のSっぷり!
女装・松岡が
寛末の髪型を変えたり、洋服を見立てたりして
ちょっとカッコよくなった時の
寛末!
普段はダサくてトロいけど、変身するとスーパーマン!
のような
寛末だった。

少なければ1小説に1要素のところ、この作品は4〜5倍、読者の
ハートを鷲掴みにする要素が入っている。
だからこそ1度読んだらラストまで止められない中毒感があるのでは
ないかと思う。


【ラストにただただ妄想・・・】

ラストは、寛末が松岡に「もう少し待ってくれないか」
と告げるシーンで幕が閉じる。
そう、完全にはハッピーエンドではなくあくまで、「かも?」
という終わり方。
「これからどうなるのかなぁ?」
「もう少し待ったらこの先は?」
とただただ妄想したくなる終わり方である。

「箱の中」には続編があったが、この作品はあるのだろうか?
そんな話は聞かないので、なさそうだけれど。
最後までしっかり描いて欲しい派の人にはやや消化不良かもしれないが、
妄想派の人にはある種最高のエンディングなのかもしれない・・・。
さすが、BL界の芥川賞とまで言われた作品である!



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2017年08月04日

愛を知らなかった男と自己肯定観を失った男が紡ぐ物語/木原音瀬(このはらなりせ)「箱の中」


ボーイズラブの芥川賞、
なんて言われているのも全く知らず
手に取った作品でした。
あまりにも良い作品だったのでブログに記録しておこうと思います。

木原音瀬「箱の中」
講談社文庫の表紙の絵が、個人的にはおすすめ。
BLに抵抗ある方は、書籍として読みやすいかと。

【「箱の中」あらすじ】
置換冤罪で実刑判決を受けた堂野。
雑居房で喜多川の優しさに救われる。
しかし喜多川は堂野に愛情が芽生えていた。
どんどん大きくなる喜多川からの愛。
自由のない刑務所のなかでは、
拒む事もできずしだいにそんな関係に。
そして堂野の方が先に、
刑務所から出る日を迎える・・・。


【冤罪で自己肯定感を失ったからこそ、受け入れることのできた喜多川の愛】

あくまで冤罪シーンはさらりと、なぞる程度。
刑務所内での様子を読むと、
まるで自分も冤罪を犯したような気分になる。
自分の意見が聞き入れられず、
仕事も失いこれだけ過酷な環境にいれば
自己肯定感も何もかも
失う気がする。

そんなときに優しくされたら。
それが心の支えになるのではないかと感じた。
あらすじでは「刑務所だから拒み事ができない」
と書いたけれど、本当にイヤなら
刑務官にチクるなどできたはず。
全ての自己を喪失したなかで、唯一自分を求めてくれた
喜多川に対して、堂野は自分の存在意義を
見出すことができたのではないだろうか。

現に、ホモ?の柿崎が堂野を襲おうとしたときには
「喜多川でないと知って鳥肌が立った」とある。
堂野は身体だけ求められることを望んでいたわけではないと
よく理解できるシーンである。


【客観的視点を与える“芝”という存在】
刑務所という箱の中は、
狭いがゆえに客観的に物事を見えなくしてしまうが
そこに客観的視点を与えてくれるのが、芝である。
出所する際に喜多川に住所を教えようとする堂野だったが、
芝から「連絡先を教えないという選択肢もある」
という言葉を聞き、
理性をとりもどしていく。
ラストで、喜多川の出所日に
堂野は会いたいけれど会いに行けない葛藤に苦しむ。
友人として会いたいけれど、
現実世界で家庭も持った今の堂野にとってそれを全て
手放してまで「男との愛」を選ぶことはできなかったのだ。

刑務所を出た堂野は、「家庭」「夫」「父」
というカテゴリーの箱の中に

入っていたのではないかと思う。


【「脆弱な詐欺師」あらすじ】
出所後の物語。北川は堂野に会いたくて
数々の興信所や探偵事務所に依頼する。
そのためにがむしゃらに働く。
カビの生えたパンを嬉しそうに食べるというシーンは、
BLでしか描けない境地だなと感じた。

堂野に「喜多川に住所を教えない」
という選択肢を教えた芝だったが、出所後の
常軌を逸した喜多川の行動に後悔をし、
探偵・大江の調査のアラを見つける。
探偵・大江は娘の受験など控え、お金に困っている。
少なすぎる情報で見つかるはずない喜多川からの依頼に
「探したフリ」をして依頼料を
頂こうとするが、あっけなくバレ。
芝からは真剣に探すよう要求される。
しかしそれがきっかけで堂野が見つかり、
「檻の外」へと物語が続いていく。


【史上最弱な探偵・大江】
ラストで大江が自宅に帰宅すると、妻からの離婚届けが。
喜多川が大江に「お前は堂野に少し似ている」と言っていたので
「もしかして最終的には大江と喜多川がくっつく?」
というエンディングも想像したが、
本当のエンディングはそれよりもはるか上を行くものだった。


それにしても、ダマそうと思ってダマされる。財布をスられる。
大江は史上最弱な探偵と感じた。


【「檻の外」あらすじ】
ようやく見つかった堂野に狂喜乱舞する喜多川。
堂野家に入り浸るようになり、
堂野の娘・穂花に「大きくなったらケイ(喜多川)
のお嫁さんになる」とまで言わしめる。
そんな折、穂花が行方不明に!
犯人は意外な人物だった。そしてそれは堂野に
新たな人生の選択をするきっかけを作ったのだった。


【過酷な運命を背負った堂野の究極な受け身愛】
堂野は妻を本当に愛していたのか?と思う。
「断り切れないまま付き合うことに」なり、できちゃった婚。
そんな堂野に愛を感じず、
妻も不倫をしてしまったのではないだろうか。
どこかで堂野に気付いてほしい、
振り向いて欲しいという思いがあり
あんなバレバレな不倫劇を繰り広げたのかもしれない。

自分は悪いことをしていないのに苦しむ。
冤罪事件の時と同じ。
堂野とはそういう運命を背負った男なのだろうか。
妻にも裏切られ、世界で自分を求めてくれる唯一の存在。
刑務所の中でだけ成り立っていた関係は、
現実世界にも派生したのだった。
刑務所と現実。広さは違えど、
実際はそう大差ないものなのかもしれない。

「僕だけと言ってくれる人の気持ちに応えたい」。
堂野にとって愛とは、
受け身によって得られる安心や自分の存在価値なのかもしれない。
「僕でいいなら」一緒にいてやる。堂野らしい・・・。


【箱からも檻からも囲われていない喜多川の愛】
堂野は世間体などを気にしているけれど、
喜多川は最初から最後までそんなもの
気にしていない。「俺は堂野が好き」ただそれだけの
感情でつき動いている。
堂野が好きだから、堂野の娘すら愛した。
堂野が離婚したけれど「ふうん、それで?」
とどこ吹く風。
喜多川は一貫して、箱の中にも檻の中にもいなかった。
そう感じられるシーンだ。



【最後に】
喜多川のような愛が最も純粋な愛のカタチだけど、
全ての人間が喜多川のようでは
カップル成立とはいかない。流されて流されて
愛に行き着く堂野のような人間も
いていいのかもしれないと
作品を通して感じることができた。
また、堂野は喜多川を子どものように思っているけれど、
堂野も人のこと言えないような気もする。
本当に大人な人間なんていないのかもしれない。


同作者「美しいこと」もぜひ読んでみたいと思います。

posted by ライターam at 10:23| 東京 ☁| Comment(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月13日

永井するみ「カカオ80%の夏」〜高校生にしては背伸びしすぎな濃厚青春サスペンス〜


◆書籍情報
永井するみ「カカオ80%の夏」
2007年4月初版
発行 株式会社理論社


◆永井するみ「カカオ80%の夏」を手に取ったわけ
まずタイトルが素敵だなぁと思いました。
「カカオ80%」。つまり「濃いめってことね」と。
永井するみさんの本もいくつか面白かった印象があるので
手にとりました。
ハードカバーの本。装画は松尾たいこさんでした。
女子要素満載感で引き寄せられたかなぁと思います。



◆主人公は本当に高校生?と疑いたくなるキャラクター構成
主人公は三浦凪、17歳。
好きなものはカカオチョコレートで苦手なことは群れることと甘えることだって?
なんだかアラサーOLにしか想像できませんでした。
実際、渋谷で絡んでくる男たちをいとも簡単に撒いてみたり
友人(本作で失踪したため探すハメになる同級生)にショッピングに付き合ってと言われ
連れていくのが表参道の裏通りにあるセレクトショップだったり。

私、齢35近いですが未だにセレクトショップなんてドキドキしてしまうのに。
これは高校生である読者に憧れさせたい意識が強い作品だなと思いました。

後半はまたまた馴染みのバーのマスターと一緒に事件解決にむけ奔走します。
もはや火サスっぽくてしかたありません。



◆意外にも強いサスペンス要素
本紹介の文章には「ガーリッシュ・ハードボイルド」なんて書いてあり、なんじゃこりゃと
思う訳ですが読み進めていくと本当にサスペンス要素が強いです。
知らない人から突然鼻にタオルを当てられ気が付いたら意識を失っていたとか、
犯人を追いつめていくラストでは蹴る殴るのすったもんだになります。
読者に散々憧れさせておいて、「現実は怖いんだぜ」とでも言いたげ。



◆小中高校生でも読みやすい文字の大きさ
この本はヤングアダルト(YA!)というジャンルのためか、一般的な
ハードカバーの本と比べてもかなり文字サイズは大きめです。
本が好きな小学校高学年の子ならすらすら読めてしまうでしょう。


◆大人っぽい凪に好感
だいたいヤングアダルト本は、「普通」っぽい子を主人公にたてることが
多い気がします。ここでいう普通とは、何の取りえもなくてー、頭もそこまで
よくないしーと自分で回想しちゃうようなやつです。
本作でいうと雪絵のような子が近いかもしれません。
そこを大人よりも大人っぽいサバサバ女子を主人公に持ってくるところが
ちょっと新しいなと思いました。
「凪」という名前も、風を肩で切るような颯爽としたイメージです。
他にもいろんな個性を持った女の子が出てくるので、「自分は誰に似ているかな」
と思いながら読んでみるのも面白いと思います。


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2017年07月07日

発達ナビで内容見せすぎ?「生きづらいと思ったら親子で発達障害でした」



〇「生きづらいと思ったら親子で発達障害でした」どこで買う?

コープデリでは書籍類が全品5%オフなので、つい買ってしまいました。
本屋さんまで買いに行って、本を探して。なければ注文してという
手間を考えると、届けてくれて5%オフってありがたいです。



〇「生きづらいと思ったら親子で発達障害でした」内容は?
ざっくりいうと。
長男出産、母の発達障害発覚、次男誕生、次男の療育スタート、
長男の療育探しというところでしょうか。

LITALICO発達ナビにて一部内容が公開されていますが。
実際、本を読んでみると既視感がすごい。
「あー、ここも見たなー」の連続なので、購入した満足感が
あまりないかなぁと思います。


〇「生きづらいと思ったら親子で発達障害でした」こんな人におすすめ
私の場合、もう子どもの診断もでているし療育も通っているため、
あまり真新しい情報がない印象にありましたが、「うちの子もしかして?」と
思っているママ、「どうも生きづらい」と思っている方、「療育に行ったほう
いい」と言われた直後なら読んでかなりタメになると思います。
療育先をどう探すかの参考にもなるかと。







posted by ライターam at 11:17| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月13日

書き出し小説名作集「挫折を経て、猫は丸くなった。」感想

パラパラと捲ると、そうか書き出し小説を借りたんだったと思い出す。
もう返却したいな〜と思い、試しに1ページ読んでみる。
むむ。面白い。
マンガでなく本でこんなに笑ったことはないのでは?というほど
それぞれの書き出しで笑ってしまった。

恐らくこの1文だけだからこその面白さであって、そこに物語を付随させると
よほどスキルがない限り、この面白さ以上のものは完成しないのではないかと思う。
たった1文の存在は、勝手に妄想を掻き立ててくれるから不思議だ。
人間は説明されつくされているものよりも、そうでないものの方が面白みを感じる
生き物なのかもしれないと思った。

とはいえ、これは読書好きな人だからこそ面白いと感じるのかもしれない。
原作の映像化を好む人、視覚的に見ることが好きな人にとっては脳内で映像を
描くことができず苦しみを感じることもあるかもしれない。

本の最後の書き出し小説の書評があったけれど、
「カーテンレールに並ぶ亡霊 1週間分の自分」
というような文。これは私的には1週間分の着る服をカーテンレールに
かけてあって、それはまるで亡霊みたいだという風に読解したものと
だいぶ意見が違っていた。
まぁ何が正しくて何が間違っているなんてものは書き出し小説界には存在しないのだろうけど、
そこだけ違和感を強く感じたので書き記しておく。


ラベル:本 感想
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2017年05月28日

今村夏子「ピクニック」書評


パンチのあるキーワードが多めで色々とぶっ飛んでいるから、
よく読まないと大事な点をたくさん見逃してしまう。
そんな作品。ビキニもローラースケートもカモフラージュな気がする。
お皿洗いの面接に来たのに、ビキニで接客させられるなんてとんだブラックバイトである。
しかもそこそこの年齢なのに、ビキニ着ろと言われて拒絶しない。
その点で訳アリ女臭がうっすらする七瀬さん。
でも謙虚な発言や行動で、なんとなくいい人に思えてしまう。

「ルミたち」は最後まで「ルミたち」で個々の姿は現さない。
七瀬さんの副乳をメモで伝えたのは、おそらく「ルミたち」以外のバイト
(「ルミたち主要メンバーが」という書き方からして、「ルミたち」がバイトメンバー
全員ではない)で、「先週二人辞めた」という中の一人なのかもしれない。
もしかすると「ルミたち」のなかから辞めた人もいるかもしれないが、そこは描かれていない。

「ルミたち」の七瀬さんいじめは、まるでみんなでピクニックに行くようなうきうきワクワク
したものなのではないかとタイトルから推測する。
集団でのいじめってそんなものだと、過去振り返ると実体験から思う。
「新人」がラストでは「仲間の一人が」という書き方になっていてゾッとする。
「新人」からしても、「ルミたち」のいじめが楽しそうに見えてしまって、輪に入ったのだろうか。
七瀬さんがいなくなることで、新しいターゲットにされることを恐れたのかもしれない。


七瀬さんはなぜ「春げんき」が恋人などという嘘をついてしまったのだろう。
おそらくここまで掘り下げられるとは思っていなかったのではないか。
wikipediaでピクニックの時代的推移として
ピクニックという風習は、ヨーロッパ貴族の狩猟遊びで栄えた。」
とある。「ルミたち」が集団で七瀬さんを追い詰めていく様は、まるで狩猟遊びのようにも
捉えることができる。日本のいじめ問題や、「普通」「平凡」「集団」「みなと同じ」を好む
文化スタイルに対して、文学という形で意義を唱えるような作品にも見えるが、その軽やかなタイトルが
またそんな重苦しさをカモフラージュしているようにも感じる。



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今村夏子「こちらあみ子」書評


※ネタバレあります。


◆「こちらあみ子」
正直、冒頭は物語世界に入っていきづらかった。
突然の描写だからだ。でも敢えて、なのだと思う。
読者へのファーストフックはおそらく
「不器用な左手だけではどうにもならず、奥歯と舌先も使って袋の口を開けるはめになった。」
という箇所。なんとなく腑に落ちなくて、私も二、三度読んでしまった。
いくら不器用でも、じゃあ一旦袋を置けばいいんじゃないの?
いきなり奥歯使うか??
読了すれば、このフックがじわじわ効いてくることが分かるのだが。
舌触りのいい冒頭文で読者に媚びるのではない点にみなぎる自信、「黙って付いてくれば分かるから」
という作者の静かなる自信のようなものを感じられる。


冒頭では、あみ子の年齢はいくつくらいなのか、読者を揺さぶっていき徐々に
子どもでもないし年寄りでもないらしいということがわかる。
そして前歯が三本もないという衝撃とともに、一気に読者を物語世界へ引きずり込んで
いく。ここから幕が開いた気がした。

内容としては発達障害らしきあみ子(明言はされていないが)をテーマにした本であるが、
東日本大震災以後、日本文学に「震災」というテーマが生まれたように
「発達障害」をテーマにしたこのような本はこれから増えてくるのではないか?と
予感が湧いた一冊だった。それは私の子どもが発達障害を抱えているからかもしれないけれど。
そして作者からすれば、「大事なのは障害の有無ではない」などと言われそうだけれども。


あみ子が妹のお墓を作って母に見せてしまう場面は、内容はうろ覚えながら、映画「禁じられた遊び」を
思い出してしまった。

母と娘の話でもあり、父と娘の話でもあり、きょうだいの話でもあり、淡い初恋の話でも
ある、多面的な作品だと感じた。

大好きな「のり君」に「好き」と同時に「殺す」と言われるけれども、「坊主頭」の子に
「知らん」といったら「殺す(と言いながら、坊主頭は笑った)」とも言われている。
同じ「殺す」でも180℃違う。「月が綺麗ですね」がアイラブユーであるような。
こんなあみ子でも気にかけて、おそらく好意をもってくれる人がいる。
この点に小さな希望が見えた気がする。




「さきちゃん」は幻か、それとも妹の亡霊かもと思わせる描き方である。
あみ子は、父や母や他の人間とは同じ場所で生きているけれど、見ている世界、心は別の場所
にあるのかもしれない。だからこそ「トランシーバー」がそれを暗喩するアイテムとして登場している
のではないだろうか。タイトルが「こちらあみ子」に改題されている点でそも気持ちが強くなった。

尚、スミレの花言葉は「謙虚、誠実、小さな幸せ」。
結局、祖母の家に追いやられてしまった形になったあみ子の小さな幸せは、
何だろうか考えながらこの書評を終わりとしたい。








posted by ライターam at 18:14| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月25日

「心が浄化される瞑想の言葉」

今日は「心が浄化される瞑想の言葉」という本(ムックブック)

のご紹介です。


まず表紙を見ただけでも、

・草刈民代さん

・辛酸なめ子さん

・本田健さん

と豪華ゲストなラインナップ!


文章だけだと、まるでおとぎ話や空想の世界のような気もしてくるのだけれど、

写真がたくさんあるので「これはリアルなんだ」と実感できました。


何より相川圭子さんの晴れ渡るような表情でも

物語られている気がします。


ヨガ=身体を動かすもの、という認識だったけれどあくまで瞑想の準備運動
んだとびっくり。


瞑想。普段、なかなかできる時間はありませんが
スティーブ・ジョブズもやっていたとどこかで聞いたことがあります。


瞑想をすれば止まらない物欲からも解放されるようです・・・。

「人はエゴに振り回され続けている」という部分に強く共感しました。


そして瞑想にも

・イメージ瞑想

・インナーピース瞑想



といった種類があることを初めて知りました!

詳しい瞑想のやり方もイラスト付きで描いてあるので

初心者でも敷居が低く、「やってみようかな」という気になれます。


今までは深く考え、気を遣うことが人として正しいことだと

思っていて「いい言葉だけ聞く」なんて大人じゃない、と勝手に

思っていました。


でも「それでいいんだ」という、それだけでも心がスッと軽くなったような

気がします。


「現代人が1週間に受け取る情報量は、18世紀を生きた人が一生かけて得る

情報量より多い」なんて圧巻です。
現代は、モノ・情報、全てがtoo muchなんですね。


また、ヨグマタ×辛酸なめ子さんとの対談で衝撃だったのが
「戦うスポーツが好きじゃないなんて言ってもいいんだ」ということ。

自分自身、とてつもない固定観念に縛り付けられているのだと
気付かせてくれた瞬間でした。

内容が気になった方は、

http://go.science.ne.jp/official_blog

をご覧になってもいいかもしれません。





posted by ライターam at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月15日

神に最も近い人からの言葉にそっと耳を澄ませてみると・・・。〜「ヒマヤラ聖者の太陽になる言葉」を読んで〜

本を読み進め数ページ。
まるで自分の心の奥底を掬い取られて「ほら見てごらん」と
言われたかのような気がしました。
著者が指摘するのはみな、過去の私や現在の私だったからです。
昔の私は、ずっと何か満たされていない気がしていました。
満たされようともがいて、人も自分も裏切ってやっと気づいたのは
「外に何かを求めてもだめなんだ、
まず自分の内側を満たしてあげなくてはいけないのだ」と
いうことでした。

だから著者の言っている教えが身に染みて理解できました。
でも「心を使いすぎるから疲れてしまう」
「勝つために頑張りすぎると疲れる」となどの箇所を読み、
「今の自分はこの通り」だと、まさに今の自分の問題点にぶち当たったのです。

1歩でも前に進み、何か結果という形を残さないと不安で仕方なく、
だから常に「頑張っていないとダメ」な状態がずっと続いていた私。
育児していても、「今仕事をしていたら」と心ここにあらずの状態も多かった私。
そんな私に「がんばらなくていい、それは心の思い込み、クセなんだよ」と
ここまでストレートに教えてくれる本はこれまでありませんでした。

無意識のうちに力んでいた身体の力を緩めてみて、「いま」に集中してみると
「内側を満たす必要」に自分自身で気付いてからも感じることのない
満足感を得ることができました。私は作り笑顔ができないタイプで、
無理して笑おうとしても顔がひきつってしまうのですが、
自然に笑える自分がいて驚きました。

そして、普段は1人でお昼寝しない我が子が気づくと隣で
スースーと寝息を立てて眠っていました。
私が自然体になったからなのかもしれません。

「ヨグマタとは何か」「ヒマラヤ聖者とは?」と用語の意味について問うのではなく、
著者の教えに素直に耳を澄ませてみるといいと思います。
(もちろん調べていけないわけではありません。
http://go.sciencene.jp/kawade_mb  
←こちらに著者のプロフィール、講演会情報など載っています)
スッと胸に入ってくる言葉、それがアナタにとって今一番必要な言葉なのです。

文章自体は、他の本より読みにくさはあるかもしれません。
でもそれは「読みやすい本」を目指しているからではなく、
瞑想で悟ったことを綴っているから
だと私は感じました。
お坊さん、牧師さんも総じてこのような話し方をすると感じるからです。

迷った、落ち込んだ、疲れが取れない、焦る、ツライ・・・
このような感情に囚われどうしようもなくなったとき、
もう一度手にとりたい本だと感じました。








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2016年02月19日

何この胸キュンワード達?!「子どもはみんな天才だ!笑えて泣ける子どもの名言96」

私には現在3歳になる男の子がいますが、
この本を読んで子どもの成長が素直に楽しみに思えるようになりました。
「子どもの成長、嬉しいけどなんだか不安」という気持ちのあるパパママはもちろん
「子どもゴコロ、どこに置き忘れてきてしまったかな・・・」という大人の皆さんに、
ぜひ読んでもらいたいと思い今回ご紹介させて頂きました。


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本書では、

第1章「ガツンときたで賞」
第2章「思わずツッコみたくなるで賞」
第3章「キュンとくるで賞」
第4章「なんか応援したくなっちゃうで賞」
第5章「ハッとするで賞」
第6章「こどもごころ満開大賞」

と章別にテーマ分けされています。
全ては紹介しきれないので、
全体を通して特に私が「キュン♡」とした名言、「笑える」名言をご紹介します。


私が「キュン♡」ときた名言7選!

・「ママを好きすぎて学校へ行ってもママのことを忘れれん」
・(どこのコンビニにおにぎりが美味しい?という質問に)
「俺のお母さんのがいちばんうまいっ!」
・(真顔で)「ぼくはママのことが泣きたくなるほど好きなんだ!」
・「ママ、早く俺を寝かしつけろや!」
・「あぁ。俺、繁殖期だから」(反抗期の間違い)
・「どうしてお母さんの時間はないのかなぁ。僕の時間はいっぱいあるのになぁ〜」
・「何年も何年も生きている。お年寄りなのに大きな背中に人間を何人も乗せている。
重いだろうなぁ。地球の肩を叩いてあげたいなぁ」




「無料素材 子供」の画像検索結果



私が笑った名言7選!


・(ママのすごいところどこ?と聞かれ)
「ママ、毎日何も変わらへんのに、化粧してるとこ」

・(高校生の息子に)
「お母さんって初めてお母さんになったの?その割にはよく頑張ってるね」

・(幼稚園の先生に)
「先生、毎日幼稚園に来ているけど大人なんだからそろそろお仕事行ったら?」

・(七五三の写真撮りにいくと言われ)「七五さんって誰?」
・(地球儀を眺めながら)「えっと、おれんちはどこだ?」
・(落ち込んでいるママに)
「ぼくはみんなに怒られ過ぎて、ほとんど聞いていないんだよ〜」

・(ズボン履きたくないという子に「じゃあパンツ1枚で行きな」と言ったら)
「やだ!パンツ2枚がいい」


「無料素材 子供」の画像検索結果

合わせて読んで欲しい!胸に刺さるプロローグ

本書のメインはもちろん「子どもの名言」なのですが私個人としては、
作家・コピーライターである作者が放つ冒頭の文章(プロローグ)が
とても印象深かったという感想を持っています。



「中国の道教には子どもの頃の写真を前に瞑想して、童心に還るという修行があります。
成長とは何者かに“なる”ことではなく、ありのままの自分に“還る”こと。
それは、子どもの頃の自分を取り戻すことから始まります。
そして、それは、とてもかんたんなことです。
だって僕ら大人は、みんなこども出身なんですから。
だから、子どもの言葉に触れて、思い出せばいいだけです。」


私達だって子ども出身のはずなのに、どうして子どもゴコロを忘れてしまうんでしょう。
どうしてママになると、子どもの気持ちが分からなくなってしまうのでしょう。
もしかしたら私達は成長の仕方を間違っていたのかもしれません。
無理して大人ぶり、同時にママぶっているだけなのかもしれません。
私自身はそんな「気付き」を得たプロローグでした。
たった4ページですが、大人が忘れている大切なものを
たくさん気づかせてくれるプロローグでもあると思うので、
合わせて読んでいただけたらと思います。


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2015年12月27日

なぜルパン三世は泥棒なのにヒーローなのか? ペンだけで30日後にブランディングするすごい裏ワザ

タイトル、長いですがこれ、本のタイトルです。内容としては、商売をしている方がホームページを作るときの参考になる本だと思います。ルパン三世がヒーローである謎はなるほど、ですが、本のタイトルと内容はややズレがあります。それでもこのタイトルが気になって手に取ってしまう人は多いでしょうし、そういう意味ではすでにブランディング成功ですよね。また、消費者は「まじめ」「誠実」「信頼」を求めている、という点はなるほど、と。30分くらいで読めるのでスピードが速い人は立ち読みで読み切れてしまうかもしれません。個人的には、本の中表紙のカラーチョイスが秀逸な気がしました。


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2015年12月24日

勉強が大好きになる花丸学習会の育て方/高濱正伸

何気なく手にとってみたものの、読んで数ページで「そうなんだ!」とかなり育児・子育て(特に勉強面で)について学べた本。そしてどうして自分の成績があと伸びしていかなかったのか痛いほど理解できた本でした。

勉強は「やれやれ」と言われてもだめで、自分で「やる!」「やりたい!」と思う気持ちが大切とのこと。だからそういう気持ちに持っていかせることが大切。そして小さいうちに「やり切る」経験をたくさん積み、「誰にも負けない」と思える得意分野があると強いとのことでした。そうでないと、社会に出てからも飯を食えなくなる、と。

近所にも花丸学習会が最近できたので「どうなのかな〜」と思っていましたが、子どもが適齢期になったらぜひ通わせたくなりました。子どもが小学生に上がる前くらいにもう1度読んでおくといいかなと自分自身に言いたい。
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本好きの人におすすめ、「読書メーター」

知らぬ間にこんなものができてきた。その名も「読書メーター」。


【ここがよかった、読書メーター】
自分と同じ本を読んだ人の感想が一覧で見ることができる
・本のビジュアルありきなので楽しい
・自分と本の好みが好きな人を探すことができ、その人が読んだ他の本も見ることができる
・今月の読書量、1日何ページ読んだかを自動換算してくれる
・読書グラフとして棒グラフや作家別円グラフがあり、分析好きの人はウキウキする


ただひたすら読んでいた人も、なんとなーく読書していた人も試しに使ってみると
自分の読書が「見える化」されて面白いです。
「読んだ本」として登録されて本達で出来た本棚画像も自動作成してくれるし。
遊び心がありつつも、データがとれるので多角的に楽しめます。

posted by ライターam at 08:26| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月21日

本「エッセンシャル思考」向きな人、そうでない人

この本に向いていない人はずばり、「英語が苦手な人」
私自身ずっとタイトルの「エッセンシャル」が引っかかってました。(英語はそこそこ得意だけどやはり日本人だからね)

たしかにいいことは言っているし、一般的な海外の同ジャンルの本よりは読みやすいのだけれど、
海外で有名な企業を例に挙げられてもピンと来ない・・・。

あれこれ手を出さず、大事なことを取捨選択しよう!という内容なのだが、
私の性格上、一つのことだけやっていると本当に飽きてしまうのだ。
だから分散している傾向にあるのだけど、そういう人はどうしたらいいんだろう・・・と思った。

きちんと優先順位をつけていればそれでいいのか?それとも、あれこれやること自体だめなのか?
私は大事なことをまだまだ絞れていないだけなのか?ん、そうかもしれないぞ。と思うのだけれど、
やっぱり翌日には気持ちが変わっていて・・・エンドレスリピート、な私。

この本のいいところは、ところどころ「エッセンシャル思考の人」と「非エッセンシャル思考の人」の特徴が箇条書きで書かれているので、
最悪ここだけ読んでもよいと思う。そんな本でした。でもやっぱり、かなり編集して薄ーくできる本だと思う。
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柚木麻子「その手をにぎりたい」

何かの雑誌に紹介されていて、ずっと気になっていてやっと手にとれた本でした。何て言ったって表紙が美しい!時代と話をリンクさせている点がさらに面白みを増!お寿司屋さんの話だけに「にぎりたい」なんですね。ラストがなんともがな、な感じで・・・。読んだ方はみなどう思ったのでしょう?一覧でまとめて載せようと思ったら、「読書メーター」というサイトがあり!けっこう本読みますが初めて知りました・・・。


【柚木麻子さんをもっと知りたい人へ】
柚木さん最新情報はお知らせtwitterを登録しておくとよさそうです


「その手を・・・」に話しは戻りますが、主人公青子の同僚、というか後輩の浦和が「日本はこれから大変なことになります」的なことを言ってくれちゃいます。それを読んで、あぁどうなっちゃうのかなと不安になった次第です。10年後、日本はどうなっているでしょうか?自分は10年後何している?とりあえず後悔しない生き方をしたい、日本がどうなったとしても・・・。

本たくさん借りてきたため、本系の話題、続きます。


posted by ライターam at 00:14| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする