2017年12月26日

是枝作品「そして父になる」より深い…。 映画「水曜日のエミリア」感想

『水曜日のエミリア』
2009年 アメリカ

監督 ドン・ルース
出演 ナタリー・ポートマン
   チャーリー・ターハン
   スコット・コーエン

原題(Love and other impossible pursuits)

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◆映画「水曜日のエミリア」あらすじと感想

冒頭。ベビーカーのシーンが何度も、印象的に繰り返されます。
あれ?イントロでは赤ちゃんが生まれていた様子だったのになぜかな?
子どもが欲しいってことなのかな?

え?耳の病気?継子??一気に情報過多に。
序盤は「???」状態でも、徐々に「そういうことか」と納得できるので
どうか序盤で諦めないで欲しいです。

ベビーカーを繰り返し映すのは、エミリアが意識して目に入ってしまっている
ということを象徴するため。こういった映画を観ると、映画ってものは
監督の思うがままだな…と良くも悪くも思うのですが、それでも
「そんなのも悪くないな」とも思うのです。

継子のウィリアムの空気読めない発言(死んだ赤ちゃんの話を蒸し返す)
に、エミリアはブチ切れの表情。この映画、演技や表情が
分りやす過ぎる!このナタリー・ポートマン、「ブラック・スワン」を
思い出してしまいました。

ウィリアムが受験に失敗したのをエミリアが慰めて、せっかくいい感じに
なってきたところへの元母キャロラインの妊娠、エミリアママが離婚した夫と
元サヤ、元母が訴えると言い出すとトラブルのオンパレード!
「監督、畳みかけるねぇ」と思いつつもハラハラ。


エミリアと夫もしっかりぶつかる場面があって。
色々な映画を観ていて「この登場人物、本当に必要あった?」
と思うようなものもたくさんあるなかで、
本作はしっかり丁寧にそれぞれの登場人物を活かしきっているなぁ
と感じるのでした。

エミリア「ウィルは偶然聞いちゃったの。私は悪くない」
夫「いつものようにな」

ボディブロウのように、グフっときた台詞です。
短い台詞なのですが、一つ一つが奥深いんです!
追悼ウォークの受付でも、

エミリア「(赤ちゃんは)死んだ。どこにもいない」
受付の人(同じく子を失っている)
「あの子はここにいる。心の中に」


ハッとさせられました。


実はエミリアは赤ちゃんを殺してしまったと明かす場面。

エミリア「論破して!」
弁護士という設定だからこそ響く台詞。
上手く出来ていますよね。


ラストでウィリアムがまたイザベル(エミリアの赤ちゃん)の話を出し、
「輪廻転生ってあると思うからの僕は仏教徒になって、長生きする」
子どもっぽいけどちょっと背伸びした、とってもいい台詞だなと
思いました。

そして「I LOVE YOU」「I KNOW. ME TOO」

もう染みる。染みわたる。

私が一番印象的だったシーンは、スケートのシーン。
ウィリアムが練習しているから滑ってきて、と言われてエミリアが
スケート場を一周しようとするシーン。
本当にウィリアムを愛していなかったらさっさと滑りに行ってしまうところを、
気になって振り返る、と転んでいて慌てて駆け寄る。

このシーンでエミリアの明らかな母性を感じ、そしてそれを映像で
しっかり表現している点に好感を持つのでした。



◆映画「水曜日のエミリア」総括

このブログページのタイトルを考える時に、
「母性が生まれた、いや違うな。うぅーん」
と考えていた時に思い出しました。

是枝監督の「そして父になる」。
あの映画に近いけれど、もっと深い。
そんな作品だなと。
「そして母になる」というタイトルを付けたくなりますね。


もう一つ、言及したかったシーンがありました。
ウィリアムが描いた家族の絵、だけど破れてテープで貼り直した絵。
それこそ、一旦は壊れたけれどやり直して本当の家族になった
エミリアとウルフ、ウィリアムの家族の形。

なんかもう脚本にこう書いてあったんだろうなと想像できます。
これ、洋画だから素敵に見えますが邦画だったら少しクサい演出なのかも
とも思ったり。
それでも、家族ってまっさら綺麗な形なのではなくて、
ウィリアムの絵のような家族こそリアリティがあるなぁと思うのでした。



◆映画「水曜日のエミリア」 監督ドン・ルースについて

ドン・ルースDon Roos,1955年4月14日- )
アメリカ合衆国脚本家映画監督ニューヨーク生まれ。
『熟れた果実』のVHSのパッケージには「ドナルド・ロス」
名義で記述がされていた。

『ラブ・フィールド』のヒロインは彼の肉親をモデルにしている。
また同作品は、ミシェル・ファイファーに
ベルリン国際映画祭女優賞をもたらした。


これまで手掛けた作品は
「ルームメイト」や「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」

の脚本など。彼が監督した作品では「偶然の恋人」。
作品数は多くはないものの、私が知っている作品はどれも
「おぉ、あれか!」というものばかりでした。

posted by ライターam at 12:01| 東京 ☀| Comment(0) | 映画 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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