2017年12月25日

薔薇色の人生、裏を返せば薔薇に縛られた人生か?村山由佳「ラヴィアンローズ」感想

今回の読書感想文(というとなんだか小学生っぽい;)は
村山由佳さん「ラヴィアンローズ」です。


◆村山由佳さん「ラヴィアンローズ」あらすじ(ネタバレあり)
フラワーアレンジメント教室を開いている咲季子。
傍から見たら自立した女のようにも見えるが、実のところ正反対。
夫は咲季子を「お前なんて」と罵倒したり、門限を設けたり束縛をしていた。
咲季子にとっては両親が遺してくれたバラ園だけが自分の場所だった。

著書制作の作業で憧れのアートディレクターと仕事出来ることになる。
「堂本裕美」。しかしその憧れの人物は男性だった。
そこから咲季子の人生の歯車が少しずつ狂っていく…。

と、こんなところでしょうか。


◆村山由佳さん「ラヴィアンローズ」 作品を一言で表すとしたら?
本書内でも出てくるが、「ラヴィアンローズ」=「バラ色の人生」という意味らしく。
まさに薔薇づくしの一冊。一言で言えば「薔薇」しかないですね。
主人公咲季子の大切なものであり、薔薇のために人生が
大きく変わってしまうきっかけにもなってしまう。
私はあまり薔薇に興味はないけれど、自分が大切にしているものを
他人からはこう見えているのかな、なんて
新しい視点を体感することができました。


◆村山由佳さん「ラヴィアンローズ」 感想
主人公はお金持ちのお嬢様出身。
すごく大事にしているテーブルを「ついた傷の跡は全部覚えているくらい」
的な表現をしていて、「マジか?!」と思うのでした。
そんな言い回しからもいわゆる「丁寧な暮らし」ぶりをしている事が
分かります。最近、話題にもなっている「あの」丁寧な暮らしってやつです。

どうして今まであんな夫の元に居たのか?と疑問も湧きますが、
彼女にとっては少し自分が我慢さえすれば
なんだかんだいって居心地いい環境だったのではないかとも思うのです。
後半の暴力振るわれるなどはさすがにNGですけれども。
夫が仕事に籠もっている間は自由に過ごせるわけですし、
怒った反動という理由でも料理を作ってくれる夫。
我が家の夫など1年に1回くらしか料理してくれませんけどね。

仕事もあまりうまくいってないからこその毛玉のついた夫の洋服。
仕事がうまくいってないのに洋服をバンバン買ったら買ったで、
咲季子は怒ると思いません??
高級な服を着ていても、自分の好きなテイストと違ったら文句言いそうですよね。
「いいものを身に着けて欲しい」などなんだかんだ言ってますが、
自分に見合う装いをしてほしかったのではないかと考えます。
そして同時にその気持ち、少しは理解できます。
たしかに毛玉だらけの服を着ているダサい夫を愛せと言われても難しいですもの。
とはいえ咲季子なりに対話を重ねても無理だと、絶望を感じますよね。

離婚したい。独立したい。そういう考えに至らなかったのは、
薔薇園があったからではないかとも
思うのです。薔薇園を軽々しく移動できませんし、
自分が家出するのは簡単ですが夫に出ていけと言っても
行かない可能性は大いにありますし。

そんな咲季子を変えてしまったのは堂本ですが、堂本も悪い男。
当初は咲季子と同じく「ていねいな暮らし」主義なのかなとも思いましたが、
ただ単にお金がなくて古いものを大事にしてただけかい!
となかなかのトリック?でした。
でもそういう男、たまにいますね!!!


唖然としたのは夫を亡きものにしてから夫の部屋に久々に入るシーン。
結婚してから数回程度しかほぼ立ち入った事がないなんて!
なんというか、あぁお嬢様だなぁ、他人を疑うとかいう観念がないんだなと
羨ましくも思うのでした。

夫が薔薇の蕾をちょん切ってしまうシーンは、おそらくわざとかなとも考えます。
「お前さえいればいいんだ」という男が咲季子が薔薇を大事にしているという点
などすぐ分かるはず。
彼女の行動丸わかりだったからこそ、制裁として行なったのだなあと読了後、
じわじわと感じることが
できました。本当は相手のイチモツをちょん切りたいくらいのところを
我慢して我慢した結果なのではないかと。


この作品の特徴として、いかにもなオチにならなかったところが
良かったと思います。堂本が男性と分かり、夫にバレるところが
クライマックスかと思いきや速攻バレましたし、
ラストで警察がきたか?と思いきや走り去る描写などは、
いい意味で読者の期待を裏切ってくれました。

もう一度読み直すと、「後悔なら死ぬほどしている」のに
それでも堂本とのキスは自分にとって人生の宝
だと言う咲季子。夫とそんな瞬間は一度もなかったのでしょうか。
それに少し切なく感じるのでした。



posted by ライターam at 12:16| 東京 🌁| Comment(0) | 本 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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